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~バド・パウエルを聴こう!~その3                  “この演奏でお茶できるか?!”

このところバド・パウエル(P)を聴いています。

彼の初期の演奏集を聴くにつけ、感じることは、この人は基本的にビル・エヴァンスと似通った気質の持ち主じゃないか、ということです。

ただ、ビルの場合は、バドほど自分の音だけに集中しているのではなく、トリオを構成しているベース、ドラムスの出す音にも最大限に気を配っているようには思うのですが。

ビル・エヴァンスの最初のリーダー・アルバム「New Jazz Conceptions」などを聴くと、彼がバドからどれほど直接的な影響を受けているかがよくわかります。その事については、別項で書きたいと思います。

ノーグランの「Jazz Giant」をご紹介しましたが、もう一枚、絶頂期といわれる頃のトリオとソロの演奏を集めたものがクレフの「The Genius Of Bud Powell」。
トリオ演奏はレイ・ブラウン(B)、バディ・リッチ(DS)で1950年6月、ソロのほうが1951年2月の録音とのことです。12インチLP。

        The Genius Of Bud Powell (MGV-8115)
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このアルバム・デザインは「The Genius・・・」を代表するものですが実はヴァーヴになってからのものでセカンド・オリジナルであり、別のデザインのものがクレフから出ている、と思います。今度はそいつをゲットしたいです。

二人でお茶を(Tea For Two)」には3つのテイクが残されていますが、どれも楽しめる内容となっています。このLPには本テイクのみが収録されています。

ソロ構成からいうとやはりテイク2(本テイク)が最も優れた内容だ、とボクも思うのですが、音質的にはテイク3が最もいいと感じます。ベース、ドラムスの音がハッキリと聴きとることができます。


それにしても、本テイクの音質がこれほど良くないのは一体ナゼなのか不思議。


バドの異常性というか、その演奏から受ける「緊迫感」や「高揚感」を、ついこちらも集中して聴いてしまいます。
こうして、何度も繰り返し聴いてしまう強烈な魅力があるため、アタマに刷り込まれてしまい、そのうちにこの演奏のことを忘れることができなくなります。

このようにしてジャズ・バカが出来上がる、という次第。

この「Tea For Two」や「Hallelujah」などの演奏を繰り返し聴くことにシアワセを感じるか、どうか・・・このあたりがバド・パウエル常習犯かどうかの分岐点となるように思います。10インチSP。

 Bud Powell Trio 「Tea For Two」/「Hallelujah」(Mercury 11069)
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10インチSPですが、このバージョンは本テイクではなくテイク3です。本テイクのSPが存在するはずですが、現在探しています。

SPは、やはり一音一音が重く響くため、胸に迫るナマナマしさがビニールとは比べるべくもなく、このバドのように、積極的傾聴しかしない場合にはオススメです。

ところでSPの購入については、極力ショップでの購入に努めたいですね。前にもレスター・ヤング・トリオの「I Found A New Baby」をe-bayで購入したら割れて泣いた・・・ということを書きましたが、ネット・オークションでの購入は出品者がどれだけSPのことを熟知しているかによって梱包扱いに差があるので要注意。

先日、SPを2枚、e-bayで購入したところ、何が同梱されているのか?と思うようなバカでかい箱が届き驚きました。
中をあけてみると段ボール紙1枚を隔てて2枚のSPがピッタリ寄り添うよう固定しているものを核に、厚手の段ボール2枚ずつ重ねさらにテープで固定され、それをビニール袋に入れさらに固定、そのまわりに発泡スチロールの板が左右に挟んだものを小箱に入れ、その小箱を入れた大箱には発泡スチロールの玉を入れて完全密封してある、という念の入れようで、この出品者にはとても感謝しています。

このような配慮ある出品者に出会うと、次からは安心して購入することができます。でも、この人が自分の欲しいSPをいつも提供くださるかどうか。

こちらは、紙ジャケCDとしてはジャケットの復元性・音質面や別テイクを網羅している点などを総括して、「バツグンの出来」と評価できるもの。
このCDでは、「Tea For Two」は全テイク(1~3)を全て含んでいて、テイクごとの聴感の違いを上に書きましたのは、このCDを聴いた上での感想です。

The Genius Of Bud Powell (Verve POCJ-9132)
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このLP「The Genius・・・」も聴きどころが多くて、好きなトラックが目白押しです。
例えば、「バド・パウエルを聴こう!その1」で取り上げた「All God's Chillun Got Rhythm(神の子はみな踊る)」同様の左手のベース・プレイが聴く事のできる、「Hallelujah(ハレルヤ)」。

また、ソロのトラックではボクの大好きな「Oblivion(忘却)」、野生的な緊迫感の極致といえるような「Just One Of Those Things(そんなことなの)」に加え、特に好きなソロ演奏が「The Last Time I Saw Paris(思い出のパリ)」。
10インチSP。

Bud Powell Piano Solos 「The Last Time I Saw Paris/
Just One Of Those Things (Mercury11083)
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ここでの彼の演奏には緊迫・切迫感の代わりに、安定感・安心感があるようです。
珍しくストライド奏法を駆使したりしています。

彼の信奉者のひとりで、スタイルとして酷似しているのがバリー・ハリス(P)ですが、彼は2000年6月にこのCDで、バドの「The Genius・・・」からの3曲、「The Last Time I Saw Paris」、「Tea For Two」そして「Oblivion」を再演していて、彼のバドへの憧憬の思いの強さを感じます。

重い病気の後ですが、頑張って弾いていると思います。大好きなアルバム。

The Last Time I Saw Paris / Barry Harris Trio(Venus TKCV-35090)
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by kazuo3455 | 2009-08-23 12:31 | ジャズとの出会い

ジャズのこと


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