~モンクの“パノニカ”~アローン・イン・サンフランシスコ
2009年 03月 01日
セロニアス・モンク(P)のピアノ・ソロではボクの一番のお気に入り「アローン・
イン・サンフランシスコ」。
Thelonious Alone In San Francisco (Riverside RLP 12-312)
リバーサイドのオリジナルでは56年の「ヒムセルフ」よりはかなり安価でゲット
することが可能だし、演奏内容も素晴らしいです。
モンクのソロ・アルバムというと「ヒムセルフ」が取りざたされるようですが、理由
は2つで、「モンクス・ムード」にコルトレーンが参加している点と、代表作「ラウンド
・ミッドナイト」を演奏している点、なのでしょう。このスタジオ録音の音も素晴らしい
のですが、臨場感という点において、「アローン・・・」盤の右には出ないように思い
ます。
また、これのStereo盤があり、探していますが、ナカナカ出てきません。
1959年10月21日、22日の録音とのことですが、どのトラックが21日なのか
22日なのかを想像すると楽しいです。
A面の1曲目の「ブルー・モンク」はB♭の彼のオリジナル・スロー・ブルースで
すが、このトラックが他のさまざまなバージョンを抑えて、バツグンの出来を示
しているのではと感じます。
サンフランシスコの集会所での録音とのことですが、古めかしい建物の空虚な
長い教室のようなフロア、フローリングの黒光りする床、中央に置かれたグラン
ド・ピアノに寡黙な表情で佇むセロニアス・モンクが現れます。
※2009年3月13日追補
↓ このスナップですが、ボクがかねてから「アローン・イン・サンフランシスコ」
録音風景ではないか、と考えている一枚です。集会所のような場所といい
ピッタリの情景と思いませんか?それに彼の帽子ですが、このケーブルカー
に乗るジャケットのものと同一のものです。
このLPを聴くと、自分がまるでそのレコーディングに立ち会っているかのような
錯覚に陥るようです。重々しいフットペダルの響きまで如実に捉えられています。
モンクのピアノは、デューク・エリントンのそれに通じるハーレム・スタイルの正統
をいくもので、トラディショナルそのもの。デューク・エリントン楽団のBrunswick
1940年の「Ko-Ko」などでのエリントンのピアノ・ソロを聴くと、モンクに与えた
影響を特に強く感じます。
また、同じくリバーサイド「ブリリアント・コーナーズ」でも演っている「パノニカ」
も好きな曲で、「ブリリアント・・・」ではチェレスタとピアノを使い分けていますが、
ここではピアノ一本に絞って弾きこんでいて、じっくり彼のソロの素晴らしさが
堪能できます。
モンクもパノニカ(正式名:バロネス・パノニカ・ド・ケーニッヒスワルケル)には
大変お世話になったのでしょうね。彼女にこの曲を捧げているようです。
バードことチャーリー・パーカーもこの人の家で亡くなったようですし・・・。
いろんなジャズメンが彼女に自分の作曲した曲を捧げているようですが、この
曲の認知度は、ホレス・シルバー作曲の「ニカズ・ドリーム」よりは低いようです。
これは、バリー・ハリス(P)がパノニカと寄り添っているところ。
目が完全にイッちゃっています。